●新連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回は筆者のできるまで、ってお話。



遅まきながら

前回、いきなり旅の話でココア通信デビューを果たしてしまい、皆様にはご迷惑を

おかけしました。

さぞかし、こいつはどこの馬の骨なんだ、と怪しんだことでしょう。

順序が逆になってしまいましたが、改めまして、ご挨拶がわりにまず自分の少女時

代のことを書いて自己紹介とします。

小学生時代はやせっぽちでカトンボのような女の子でした。小さい頃から背がぐん

ぐん伸びて、1年生のときの遠足の写真を見ると、頭ひとつみんなよりでていて、お

まけにどういうわけか私だけ帽子を被っていたのでひどく目立っていました。中学

生になると背の伸びも止まり、お陰で今は人並みの高さです。

今思うにこのときの写真はコンプレックスと目立ちたがり屋という私を象徴してい

るような気がします私は小さな印刷屋の娘でした。まだ活版印刷の頃です。文選工、

植字工、機械工、解版工など12〜3人の職人がいたでしょうか。さらに役人が出張

校正にきたり、業界誌の編集員、金貸しなどいろんな職業の人が出入りして、いろ

いろと見聞きしたせいかませていたような気がします。それだけに大人の顔色を伺

うことの上手な鼻持ちならない子でした。

ところが中学2年のとき、家が倒産したのです。ちょうど自意識の強い思春期でし

た。金持ちを軽蔑しながら貧乏が怖い、異端にあこがれながらも友達と同じでいた

い、わがままを通したいのに孤独を恐れる、そんな矛盾にまみれながら、内向して

いったり、ときには信じられないような外向性を発揮しながら自分はどんなふうに

生きたらいいのか考えました。バランスの悪い性格でした。

しかし今ほど差別のないのどかな時代だったからでしょうか、リストカットもひき

こもりもせずに青春期に入りました。

青春とはすばらしいものです。とりまくものはまったくの暗雲でも必ずや一条の光

はさすものです。それは夢であったり若さの確信かもしれません。

でももし神さまがお前にもう一度あの青春時代を与えようといっても私は断ります。

二度とあの未熟で思い上がった時代はごめんだからです。

それからはあっという間に平凡なオバサンになってしまいました。今?あとは想像

におまかせします。

これから駄馬が駄文を書き続け、もし読んでくだされば、おいおいとどんな馬の骨

かおわかりになることでしょう。
   


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