今週の雑感(昔のもありの) 文はさぬがゆたか
ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
しばらく感動ものじゃなくて雑感記に変えたいとのことです。
『 休 暇 の 出 来 事 』
この連休に埼玉の奥、秩父/長瀞に出掛けたのよ。と言っても前日はココア通信の田島さんちでどんしゃかバンドごっこと宴会でもり上がったせいで立派な二日酔い状態で。
京浜東北線で大宮に出て、そこから高崎線熊谷で秩父鉄道に乗り換える。日が良けれ
ばSLも走ると聞いていたのですっかり観光気分になって缶ビールを買ってみたが、まっ
たく普通の列車で首からぶら下げたカメラがなんだかカッコ悪かった。
どうして秩父長瀞なのかと言うと、お金持ちの女友達んちの別荘なわけで、訳ありの
オートバイを見て欲しい!というのが理由。それとバーベキュー。
「あたしゃ動かせないわ、どうしたらいいんだろうね?」ってことで、男手が必要に
なったんだわ。
ゴットンゴットン荒川渓谷が眺められるあたりまで来ると、連休真っ盛りの家族連れ
で賑わっている。
前に来たときには冬の雪景色の中を車で走った。誰っこ一人いなくて綺麗だったし心
がウキウキだったけど、新緑の季節もまたいいもんだ。
駅前で御夫人二人の迎えを受け、そこから車でえんやこら登ること10分。標高600メートル付近に並ぶ別荘村に到着する。彼女の別荘は外洋レースでも活躍していたヨット
マンの旦那さんらしく、随所に海に関するオブジェや装飾品が目につく。山の上でも
海気分ってわけでさっそく缶ビールが出された。喉がクク〜ッと鳴るおいしさよ。
夕方からのバーベキュー支度の合間にさっそくオートバイを拝見した。噂には聞いて
いたけれどロシア製サイドカー「ウラル」は珍しい。走行まだ450キロ未満で乗るべき
主人を失ってしまったのだ。
そんな主人の思いを尊敬しながらたくさん写真を撮らせてもらった。それでも夫人
のUちゃんと友人のT夫人はせっせとバーベキューの用意で忙しい。
鮎と鱒の塩焼きはボクの役目。火を起こすのはおちゃのこさいさい!ってかほぼ毎週やってるもんで。
クネクネと串を刺し火持ちのいい備長炭に並べる。その間にサザエの壺焼きにホタテ
の貝ごと焼き!
アルミホイルさえあればいたって簡単なキノコ類のホイル焼き。バターに塩コショウ、
好みでちょい醤油とレモンをちょい!いい香りが漂いだす頃になれば近所の旦那方も
手みやげ持参で集まり宴たけなわになります。あーでもないこうでもない話しが続き
ほぼ全員に皿がまわりボクもひと休み。
そして事はそれから始まった。
ほろ酔いで別荘の裏山側に出てみた。内緒だけどオシッコがしたかったのよ。そこで見たのはまばゆい光。見上げる夜の稜線沿いにあきらかに光るもの。
中心の大きく光るものに対し、ランダムに小さな光が流れる。
それは中心に対し小さな円状になったり、横一直線になったり、縦に蛇行したり。
頭をぐるりと廻し眼下の街の灯や、いつもの星も確認した。でもでもやっぱり違う。
あきらかに白くピカリ!なのであります。
宴会中のみんなを呼び確認しあった。別荘持ち主の彼女なんかは張り切って別棟で宴会
中の人々にさえ声を掛けたくらいだった。
とうとう来たのであります。たぶんとてつもない大きさの母船かも知れない。顔が焼けるくらいまばゆい光りをそのうち発するんだわ。
「未知との遭遇のデビルス・マウンテン」「ETのエリオット』などなど思いつくまま
その場で座りこんで見入っている。他の人達はその後またバーベキューになったけど
ぼかあどうしてもその場から離れられないでいた。
危険も何も感じず、たぶんすごい期待感になってしまってどうしようもないでいた。
「きっとすごいんだぞ!きっとすごいんだぞ!」って。
その証拠に機種変更したばっかりの最新鋭携帯電話だって圏外になりっぱなしじゃな
いか!
音もなくただただ大きな点滅と不定期で小さな光り群団!
「この辺に大きな鉄塔とかはないわよ〜」という別荘持ち主の心強いお言葉が支えで
あります。
そんなこんなで風呂に入り、夜食のラーメンを食べ望遠鏡を持ち出したものの焦点が
あわず部屋の窓を開けながら眺め続け夜がふけたのであります。
コケコッコ〜〜〜ッ コッ !
突然朝がやってきた。すっかりコーヒーの香りたつ中、小肌寒い姿で窓から見えたのは赤白に塗られた高圧線の鉄塔。
「あら、あんなところに鉄塔があったのね!知らなかったわ〜」って言うんだもんなあ〜。
携帯電話も圏外になっていたのは自分のFoma(ドコモは現在山に弱いって評判)だけ
だった。
昼前に望遠鏡の見過ぎで疲れた目をカキカキしながら長瀞町に降り,蕎麦でも食べて
行こうと思ったけれど、どうにもこうにも連休の混雑でそれどこじゃなくモヤモヤと
した休暇になったのは言うまでもない。