今週の雑感(昔のもありの) 文はさぬがゆたか
ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
しばらく感動ものじゃなくて雑感記に変えたいとのことです。
「 雪 山 」
寒い寒いと言いながらも、心ウキウキ中央高速で長野の南端木曽乗鞍まで行った。
雑誌のイラスト体験ルポの仕事なのでお金がもらえるスキーの旅だ。
とは言っても、ただただ楽しく滑らせるようなことは考えてもらえずだいたいが意地が悪い。この冬の初滑りだと言うのにテレマークスキーだそうだ。
テレマークスキーを知っている人は少ないと思うけど、歴史は古く北欧では日常の足と使われ、登っても良し走っても良し飛んでも良しの万能ツールとして浸透して
いたらしい。
長野五輪で笑顔がへらへらで有名になったジャンプの原田選手が着地の際に前後に開いた足元を思いだしてくだされ!後ろ足かかとが浮いたテレマーク姿勢。
そう、今回のスキーはかかとが離れ浮くだけで、今まで慣れ親しんだアルペンスキーとはまったく別物になってしまった。思い起こせばスノーボードを初めてやった時に
もすってんころりんを繰り返し、一日にして自虐的性格に落ち込んだものだったのよ。
まあ、どうにかなるもんなんだと思っていても、初滑りの体は硬く平衡感覚も乏しい。
普段の生活には必要も感じない足裏の感覚がなく、ただただズリズリ〜と滑るだけ。
コーチをしてくれた人に気の毒なくらい無意味な初日で終わり、夜になればせっせと
脳みそがあ〜だこ〜だと闘いだす。能書きだけでは済まない体とのこと。
どんなスポーツもきちんと体があってこそバランスのいい考えや、動きになるのに
今の自分にはそれがなくて、能書きだけのつまらない今がある。
悔しいくらい覚えが悪く経験が生かせられない。ってグスンな夜だった。
明くる日も快晴。太ももの筋肉がパンパンと悲鳴をあげる中、何度も何度も
繰り返し昨日には感じられなかった感覚が得られる。独特の平衡感覚が
ちょっとずつ出始め、コーチも「いいんじゃ〜ない〜!」ってさ。
年齢や経験を重ねると、どうにもそれを壊すことが恐くなって知らず知らずの
うちに臆病になっていたんじゃないだろうか。いつもなら酒場でえんやこらと
語るだけで済ませていられた事が、体を加えることで違った要素が求められる。
体あっての表現、体あっての発言を再確認させられたような日になったみたい。
たかが滑ってナンボ!のことなんだけど、それらに含まれるいろんなことが
好きだったんだろうなやっぱ。
ふ〜ふ〜言いながら食べるラーメンの向こうには乗鞍岳が偉そうにそびえていた。
時には書を捨て山に出よ!がいいのかも。