新連載●文はクボユーシロー

俳優3



(ショーン・ペンその1)

『ミスティック・リバー』ははっきり言って非常につまらなかった。しかし、

この映画はアカデミー賞を取るらしいとのうわさがある。そして最近、

そのアカデミー賞の前哨戦とも言われる61回ゴールデングローブ賞で

『ミスティック・リバー』は主演男優賞と助演男優賞を取ってしまったのである。

スポーツ新聞に『ラスト・サムライ』の渡辺謙がゴールデングローブ賞の助演男

優賞を取りそこなった記事が出ていて、そしてその賞を取ったのは『ミスティック

・リバー』のティム・ロビンソンだと書いてあった。映画の中で彼は恐怖映画に

でも出てきそうな、おどろおどろした感じの不気味な演技をしていたが、助演

男優としてならその受賞もおかしくないかなという役どころではあった。ところが

しかしである、その新聞記事の頭に書いてあった主演男優賞のところを見て驚いた。

なんとショーン・ペン(ミスティック・リバー)と出ているではないか。『ミスティック

・リバー』での彼の役どころは昔は町のチンピラで前科者、今は更正してその町で

小さな食料品店のおやじにおさまっている。そして彼の19歳の娘が何者かに銃殺され、

近くの公園の通称『熊の檻』と言われる竪穴で枯葉に覆われて発見される。だが、

このミステリーはそこから始まるのではない。詳しいストーリーはここでは書か

ないが、とってつけたような結末にがっかりする、入場料を払って見るような映画では

ないとだけ言っておこう。しかし、問題は俳優としての『ショーン・ペン』である。

正直言って彼の名前は聞いたことはあるが顔と一致しなかった。しかし、顔を見ると

「ああ、彼か」とすぐ気付く役者だったのである。僕のイメージではマフィヤ、

アクション、ウエスタン映画などで準主役かその下ぐらいの役で真面目なビジネス

マン役の記憶は無い。 続く


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