今週の感動(昔のもありの)              文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
今週は先週のハッピーニューイヤードッグな「今週の感動」のずっと前、
一昨昨年の涙の友情物語的「今週の感動」。




まさか我が家の切ない話がコラムに取り上げられるとは思っていなかったのでビックリ。

近所の牧場(おいおい牧場があるほど田舎なのかい?)からもらわれてきた一匹の子犬が

我が家で過ごした6年間の話。

彼が取得した「お手」「待て」「おすわり」は絶品でした。

つまらない事では吠えないし、めったに喧嘩もしなかった。だから犬仲間でもたぶん

付き合いの悪い奴だったかもしれない。

大きな公園でキャンキャンとボールを追い掛ける日もなかったから彼としては燃え尽きない

人生だったかもしれない。しかし運動不足なりに彼は十分に人様の生きざまを眺め楽しんで

いたような気がしてたまらない。

小さい頃はまったく姿も見せず、たまの週末に何だか偉そうに「おっ!散歩、散歩だ!」

と言っていた。この一年毎日家にいやがってさ、何でもやりたがる。やれ散髪だ、

やれシャンプーだ!そのうえ眠いのに、やたら質問をする。まったく勝手な奴だ。

おそらく僕はそう思われていたのではないだろうか。

自分がこれほどまでに躊躇すると思っていなかった。ゲンキがいなくなる前からなぜか

すでに墓を掘った。しっかりと送ってあげようと思う気持ちと、どこか投げやりな気持ち

が交差したんだろうか。どんなに思っても来たる現実を思うと「今やれる事」だったの

だろうか。

おそらく自分自身を観ているんだろうと思う。「本当はこうしたかったんじゃないの?」

と思えてしまう。だから切ないのかも知れない。すごく教えられちゃって。


向いの家で子犬を飼いだした。

キャンキャン吠えながら我が家のゲンキの墓の餌をペロリする。

明くる朝もペロリする。ゲンキが食べられず亡くなった事を気にして、用意した餌を

すっかり食べてしまうことに苛立ちを感じる。複雑な気分を送っている。


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