12/13の日記          文は田島薫



マティスとレッズ

先週末の午後、ずっと行こうと思ってて、いよいよ終わりになりそうなマティス展

を上野に見に行こうと、自転車を出したら前日に乗ったばかりなのにパンクしてた。

で、100円ショップで買ったパンク修理セットがあったので、修理を始めたら、

どうも余計チューブを傷つけてしまったようで、パッチを張っても張っても空気が

漏れ、なんとかおさまった頃には2回ぐらい買い足した8〜9枚のパッチを張りまくり、

とっぷり日が暮れていた。(しかも月曜の今朝にはまた空気が抜けていた)


土曜は浦和レッズのチャンピオンシップ第2戦、1戦で1対0でマリノスに負けてるので、

今回は2対0で勝って優勝の予定だったのが、1対0で勝った後、PK戦で負けた。

自分で作った醤油仕込みのいか塩辛でふだんより1杯余計に酒を飲み、翌日寝坊した。

四角い目覚まし時計が横に置かれてたので、10時過ぎなのにまだ7時か、って思って

いて、やっと気づいた時は昼過ぎだった。


卵とキャベツとトーストと紅茶とヨーグルト喰ってから、週末行けなかったマティス

へ出かけた。

上野西洋美術館前は人が沢山並んでいた。おいおい、こんなに混んでるのかよー、

だめだよ、最終日に慌てて来るようじゃ、そんなのがいっぱいいるんだなあー、って

私もそのひとりだった。

10何分待たされてやっと中へ入り、人垣の間や頭越しに画集で見なれた作品を見た。


マティスはすごくシンプルな大づかみのフォルムで物を簡単に表現してるように

見せて、実はたいてい写実デッサンから描き始め何ヶ月もの長い時間をかけて、

試行錯誤を繰り返し、ひとつの究極のフォルムに到達する、といった方法論が伝え

られていて、確かに「夢」のようにこれっきゃないね、って完成度のものがほとんど

なんだけど、最初から、収集がつかない、って諦めた、って見える、習作レベルの

作品もけっこう展示されていて、(そのへんの判断は難しいって言われそうだけど)、

そういう過渡的な作品やその不完全さをも、すべて楽しんでしまうような、大きさ

を感じさせられた。

マティスは自分が楽しむ、ってことの価値を全身で教えてくれる画家なのだ。


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