8/16ののらねこ 文は田島薫
つーとんが来た理由連休中の土曜に来てみたら、皿は空っぽだったけど、後の壁との間に、
いっぱいエサがこぼれていたから、それを拾って、新しいやつを足した。
ホームページの更新もかね、きょう来てみると、皿は空で床にもエサはこぼれてなかった。
昼過ぎごろ、だれかお客さんは来てるかな、とドアの外へ出てみると、
下の階の踊り場に若とらがいて、そこから続いているねこけもの道に、
七曲がりの路地の家で飼われるようになって、1年ぐらい顔を見せなかった
つーとんがいて、なんとなくにらみあっている風情だった。
おいつーとん、って何回か声かけたのに無視されたので、今度は、おーい若とら、って呼んでみたけど、ふたりに無視された。
あそんでもらえない私は、あきらめてひっこんで、しばらくしてから、どーなったかな、と出てみると、つーとんが上がって来ていて、若とらは
帰ったようだった。
つーとんは口もとを少しなめなめしていて、エサをつまんだ後のようだったけども、皿のエサはほとんど減ってなかった。
つーとん元気かい?って鼻をさわろうとすると、するっと避けて、階段の方へ
行ってほんの2段下で立ち止まった。
なんだいなんだい、どーしたんだい?って不平を言ったりしてると、その場に
うずくまったんだけど、顔は向こうへ向けてるので、もうふたことみこと
何か話しかけてから、試しにひっこんでみて、すぐに戻ってみたら、やっぱり
もう彼の姿はそこになかった。
聞いてないふりしてただけで、やっぱり彼は私の話を聞きに来てたのだ。