今週の雑感(昔のもありの)              文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
しばらく感動ものじゃなくて雑感記に変えたいとのことです。


「自分の手」


先日友人と酒の勢いつつ流れで昔撮ったビデオを見てみたら、

BARのカウンターで妙にしゃなりしゃなりとたなびく自分の手が映っていた。

楽しい酒の最中らしく顔も手首の関節も軽快だ。

人に比べ短い指なわりに器用に動いている。きっとギターの話題にでも

なっていたに違いない。爪もそれなりだし色つやもそれなりだ。

グラスを持つ手だって、シャツの袖口だってそれなりの雰囲気だと思った。


そんな数年前の手に比べ今夜自分が見る手は、あきらかに動物的で

機械的でどうにもおしゃれじゃない。爪の間にはまだ絵の具のような

オイルのようなものが詰まっているし関節も節ぶしだっている。

昼間に教えてもらった溶接の小さな火傷の跡だってバッチリだ。

どうみても田舎のおっさんの手になっている。それでもきちんと

洗ってもいるしハンドクリームだって持っているのに黒い。

その手でギターを弾く。あんがい前よりブルースぽい気がする。


そうだ。ずいぶん前に会った年配のヨットマンとの握手で感動した

ことを思いだした。ゴツゴツしていて大きかったけれど、いい感じだった。

もはや工具の一部にさえ思えたその人に手に、自分も憧れていたのかも

知れない。

なあ〜んて夜中に思ったわけさ。


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