11/25の主張             文は田島薫



(酒場の寛容について)

最近友人と地元でなじみの安酒場で待ち合わせをし、私が少し先に着き、

頼んだ肴でビールのコップ1杯めを飲んでいるところに友人が顔を出した。

そこへ店の主人が走り寄り友人は外へ連れ出され、少しして主人だけ戻り戸が閉められた。


今度はそっと戸が開き友人が顔だけ入れて私を手招きした。

外へ出て聞くと、主人に入店を断られたそうだった。

理由は先日友人と彼の知人が来店した時他の客と喧嘩をしたからだと言ってたそうだ。


友人の話によると、事実はその知人が勘定を払おうとレジにいると、他の客がどけとばかり

に彼を押し退けたのだそうだ、小柄で一見気弱そうに見える彼は横暴な酔客になめられたのだ、

見かけによらず若い頃乱暴者だった彼はその客の襟首をつかんで啖呵を切ったらしい。

友人はそれに加わわったわけではないし、そばの席でそれを見ていた別の客も悪いのは

そっちの酔客の方だとその時も証言していたそうだが、主人は耳を貸さなかったらしい。


そして今度も友人の弁明に耳を貸さず問答無用の態度だったようだ。

まあ、店の方としては少しでも店で荒れそうな恐れがあるものは排除しとけば

間違いがない、安い店なんだから、あまり細かい神経を使ってやってはいられないし、

といった考えなんだろうが、非常に寂しい気がする主人の態度だった。

私も仕方なく酒も肴もほとんど手つかずのまま支払いもして店を出た。


そんなに完全な人なんていないわけだし、やってみたもののどうしても手がつけられなく、

店の力では治めることができない、といったことであれば仕方ないだろうが、

なんらかの筋やいきさつがあったのなら、店の主人なりがきちんと公平に判断し

客どうしのもめごとなら、落ち度のある方を諌め、次の来店も許し、そういうことがまた

起きないように客そのものの態度、認識を「高める」といったことが酒場の価値であり、

そもそも店の格といったもんじゃないだろうか。

ま、今回はけっこうどうでもいい小さい主張でした。

多分反論もあるかも知れないですが。


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