連載●文はクボユーシロー

何でだろう5


(フセイン)

「フセイン生け捕り!」イラク元大統領の拘束記事が12月15日朝の駅売り

スポーツ新聞各紙の第一面に踊っていた。もし、このニュースが無ければ

スポーツ紙の第一面は『トヨタカップでボカがミランにPK戦勝ち!』が

飾ったはず。第一面をフセインに横取りされたトヨタや広告代理店関係者は

がっかりしたろう。

それはともかく、イラク元大統領の拘束で『まずは一安心』と多くの日本人

いや世界中の人々がそう感じてるだろう。ブッシュ大統領は赤飯を炊いて

配りたい気持ちだろう。しかし、普段は反米的な発言をしている人々も

『ひとまず安堵』の心理になっているのは『何でだろう』。

今までのイラクからの悲惨なニュースが『フセインは極悪非道であり、

人類にとって有害な人間である』というイメージを世界中の人々に強烈に

叩き込んできた。フセイン政権崩壊後に進駐した米軍隊員、他の外国軍隊員、

国際組織の職員、そして日本人外交官に対するむごい殺りくも、総てその根源

がフセインである事に疑問を持たない。そして、その『根源』の拘束が確認

されて世界中の人々が『ひとまず安堵』の心理になるのは当然だろう。

だけど、なんかおかしい。ブッシュの後ろにいる誰かが書いたシナリオに

世界中の人がすっかり乗せられているように感じるのは僕だけだろうか。

確かにフセイン政権はイラク国民に苦痛を与え、アメリカを脅かすテロ組織を

サポートしたかもしれない。しかし圧政に苦しむ国はたくさんあるし、テロ

組織支援はフセインだけではない。

アメリカにイラクを爆撃し多くの民間人を殺傷する権利はあるのか、フセイン

政権崩壊後のイラクに大規模な軍隊の駐留をする権利があるのか。

あるはずは全く無い。ブッシュの後ろに影のようにいる商人たち、石油利権目

当ての商人、軍事費目当ての商人、復興事業目当ての商人。今回のフセイン潰

しからイラク再建までのシナリオは商人たちのプロジェクトチームが創った。

世界中の人々の心理をマスコミを使いコントロールしてきた。そしてそのシナ

リオはまだ終わっていない。彼らのシナリオには予め死者数が出ている。

イラク○○人、アメリカ○○人、イギリス○○人、スペイン人○○人、

日本人……。 おわり


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