連載●文はクボユーシロー

何でだろう4


(郷土愛)

昨日、埼玉スタジアムで日本対香港のサッカー試合があった。先週の中国戦に

続く第一回東アジアサッカー選手権の2戦目である。こういう国際試合の場合、

特別な事情がない限りテレビを見ている日本人は日本代表を応援する。ここで

『何でだろう』って改めて疑問を持ってみた。

この試合のサッカー選手又は試合関係者に知り合いでもいるなら分かるが、

よその子がボールを蹴っ飛ばしているだけなのに。日本のゴールが決まりで

もした時にはテレビに向かって「よーし。えらい!」などと大声出して右手が

グーになってたりする。親戚の子でも近所の子でもない、見ず知らずの赤の

他人の若者だよサッカー選手たちは。

日本人同士の試合の場合はどうか。たとえば浦和レッズとガンバ大阪が戦った

とすると埼玉県で生まれたり育った人間は100パーセント浦和レッズを応援する。

コレは自然な流れだし何の疑問の余地も無く、『何でだろう』なんて言ったやつ

は完全に変人扱いになる。もうコレは「郷土愛」と言うしか他に言葉が見つからない。

「郷土愛」なら分かる。生まれ育った場所を想う時、誰しもその懐かしさのあまり

涙ながるるを禁じえない(大丈夫か)。あの道、あの十字路、あの坂道、あの

大きな木、角の古い家、商店街、バス停、学校、お稲荷さん、鎮守の杜、夏祭り。

同じ風景で成長した人間に対しては、たとえ時代を超えていても無性に親近感を

感じる。もうコレは同じ血が通ってるに等しい。

我々が日本代表チームを応援するのは「郷土愛」の延長だなコレは。仮に、Wカップの

決勝戦でイギリスと韓国が対戦したとすると、日本人の「郷土愛」の外枠はノープロ

ブレムで簡単に対馬海峡を越えるだろう。 おわり


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