連載●文はクボユーシロー
貞熊犯罪研究所 6
(松戸殺人放火事件その後の後)
9月2日現在、マブチモーター社長宅殺人放火事件は解決していない。この事件について書くと妻と娘を亡くした社長とご遺族の悲しみを無視しているようで辛
い。この文が少しでも捜査の役に立つことを願っている。
前回、犯人の狙いは二つありその一つは現場を社長に見せることにあると書い
た。犯人とはもちろん実行犯でなく、彼を雇った黒い組織である。全焼しないこ
と計算に入れたこの放火、その検証現場は陰惨を極める。組織は自分たちの残虐
性を社長にどうしても見せつけなければならなかった。そして社長を恐怖でその
場に立ちすくませると共に、もう一つの狙いである「犯人は我々である」という
確認をさせた。つまり社長にだけ分かる組織からの「サイン」が残っていたと推
理する。この二つを合わせるとそれは犯人から馬淵社長への「最後通告」になる。
この黒い組織と社長との間に何があったのかは分からない。社長は外国の組織で
あろう彼らとのトラブルを全て捜査陣に喋っているのか。いずれにしても公表さ
れたくない事であるのは想像がつく。組織が使った「下請けの実行犯」は犯行後
すぐに自国に帰っているだろう。この事件はこのままでは迷宮入りになる。
社長が恫喝に負けて内々に処理しないで欲しいのだが…。 おわり