9/17の主張             文は田島薫



(関係ないということについて)

先週は米国の同時多発テロから1年、マスコミでもたくさん特集を

組まれたが、ラジオで一般人へのインタビューを聞いていたら、

テロはこわいと思ったなどと言うありがちな素朴な感想にまじって、

アメリカで起こったことだし日本や自分には関係がない、と言う

一応知識人と思われる人物からの意見があっておどろいた。


わかりきったことだけど、米国と日本とは経済的にも、軍事的にも、

文化的にも密接につながっているし、もちろんその日本を構成させて

いる要素は我々ひとりひとりの個人なのだ。

我々の意識の集積によって、もし米国のイラク攻撃などに協力した

場合などは、すぐに東京がテロのターゲットになりうるのだ。

そうなった時にも、関係ないと言った彼は、自分のビルは無事

だったし、他のビルのことだから関係ないと言うのかもしれない。

あるいは、万一自分がテロにあった時、はじめて関係ができて、

その時は不運だったとあきらめるか、怒るかすると言うのだろうか。


多分彼は、ニューヨークがテロにあったことよりそれ以上の惨事が

世界中で起こっていて、自分にはそれらに対しての無力感が大きく、

それに比べ、ニューヨークの大騒ぎはぴんとこないと言いたかった

のだろう。


しかし、よく考えてみよう、世界の悲惨さは、ニューヨークや

東京とも因果関係があるのだ。

我々ひとりひとりは、他人とつながり、他国とつながり、世界と

つながっているのだ。


個人では世界をどうしようもないと感じる気持ちはわかる。

でも特に豊かな国のひとりひとりみんなが不幸な人をなくしたい

と言う意識を持ちつづけたら、世界は変るのだ。

これはきれいごとではなくて、普通の大人なら誰でも知ってる

世界の常識なのだ。



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