連載●文はクボユーシロー

貞熊現代アート研究所4


(工業デザイン)

最近、書店の雑誌売り場で『デザイン』を特集した本が目に付く。雑貨

から建築まで、こじゃれたレイアウトで立ち読み客たちの買う気をそ

そっている。

僕が今興味を持ってるのは工業デザイン、特にデジカメと自動車であ

る。デジカメについては後日ちゃんと文句をつけるとして、今回は自動

車について言う。

昔の少年たちは皆、国産乗用車の名前とデザインはだいたい知ってい

た。うるさいやつになると個々のエンジン性能や諸仕様まで暗記してい

る (高校で自動車整備を学び整備工場に就職した林君、今どうしてんの

かな) のもいた。

車名を全部覚えるなんて今はだめだろう。昔のように同じ名前が長く続

かないし、車種も桁違いに増えた。デザインもしょっちゅう変わるし、

同じデザインなのに販売会社が違うと車名が変わってたりする。

2000cc以上の日本車に良いデザインがない。前の『シーマ』がちょっと

良いかなと見てたら今度のやつはヒドイ、まるで象アザラシ。セドリッ

クも以前のは『族』がシャコタンにして走ってるとかっこ良かったが、

今のはどーやってもだめ。クラウン系の車種はどれもタクシーみたいだ

し、三菱やマツダにいたっては金もらっても欲しくないって感じほん

と。かろうじて本田系がちょっとはましかなってとこか。それに比べる

とドイツ車(オペル以外)はどこもキチンとした良いの世の中に出して

る。おまけにドイツ車はどの社(オペル以外)もマークのデザインがす

ごーく賢そう。だから、平凡なデザインでも前面にそのマークを付ける

だけで賢そうなイメージになっちゃう、参っちゃうね。日本では三菱自

動車とスバルのマークがレベルをキープしてるけど、他はどこもゆるい

ふんどし(締まりが悪い)。特にマツダとスズキとダイハツはひどい全く

だめ、良い車作ってもそれを付けるだけで『アホ面』になる。役員にデ

ザインを知ってるのが一人もいないって証拠、草葉の陰で『亀倉先生』

が泣いていらっしゃいますぜ。

日本車には『軽』と言うジャンルがある。外国車にこのジャンルがある

のか知らないので比べようが無いが、このクラスのデザインは優れてい

る。各社からいろいろ種類が出ているが、それぞれが主張を持ってて好

きだ。シンプルで全く無駄の無いやつ。ドイツ車のようにキチンとした

やつ。女子高校生達が『わー! カワイー』って騒ぎそうなやつ。ちょっ

と悪そうなやつ。皆いいねー、各社のインダストリアルデザイナー達が

嬉々として仕事をしてるのが見えてくる感じだね(花○)。 つづく


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