5/20の日記          文は田島薫



最近自宅の朝はしゃかしゃかといった騒がしい音で始まる。

北側の外壁のエアコンのホースをはずした穴にむくどりがひなを育て

始めたらしい。


親鳥がエサを運んだ時にヒナが声を合わせて鳴くようだ。


2階の居間にいると、親鳥が向かいの電線に何かくわえて止まっている。

双眼鏡で見ると、黄金虫のような虫だ。

すぐに巣のほうに行かずに、ずっとじっとしながら、時々周囲を見回し、

つつと横跳びに何段階かに分けて巣に近付いて行く。

ヒナに外敵を近付けないように警戒しているのだろう。


他のことをしていて気が付くと、断続的にしゃかしゃかという声が

聞こえて、またしばらくたって、見ると少し離れた電線に親鳥が

止まっている。今度は、ひも状の虫をくわえていた。

近付いて来るんだろうと思っていると、もっと離れたほうへどんどん

行って向こうのほうでじっとしている。

あたりを見てみると、近くの電柱に大きなカラスが止まっていた。


そんなふうに頭をフル回転しながら、親鳥は日暮れまで、しゃかしゃか

何度もヒナを鳴かせながら、一日中働いていた。


なんだか負けたような気がした。


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