連載●文はクボユーシロー

ユーシロさんの 食い物話 6



(十条の串かつ)

今、居酒屋ブームだと言う。十条の斉藤酒場と言う戦前からやっている

居酒屋に最近よく行く。ここはたまたま本屋で立ち読みした、太田某著

の「都内居酒屋巡り」(確かこんな名前だったが正確には覚えてない)

に載っていて昨年知った。店は50席ぐらいの広さで3人のおねえさんが

きびきびと立ち働いている。

とにかくここは値段が安い。お酒が徳利(八尺)で160円、にごり酒200

円、ウーロンハイ280円その他も似たような値段である。酒の肴がこれ

また安くて旨い、おまけにメニューに菜の花おひたし、たけのこ煮、ふ

き酢みそ、生らっきょうなど季節感のあるものがその時々にちゃんと

入っている。煮魚、焼き魚、刺身なども常連客が飽きないようにいろん

な種類が日替わりで出てくる。

斉藤酒場の常連が注文する定番の肴はポテトサラダ、カレーコロッケ、

串かつである。ふらりと入ってきた人がこれらの内1つと季節の物を注

文したら、昨日今日の客はこの人に対して一目置かないといけない。こ

の串かつがほんとにうんまいッ。一皿に2本とキャベツがちょこっと付

いてて180円。豚肉たまねぎ肉たまねぎの4層構造、もちろん揚げたてで

運ばれてきた物をいきなり口にするとヤケドする。

斉藤酒場はJR赤羽線十条駅西口から歩いて1分、改札口を背にして右手

に路地が見える、そこを入ってすぐ左側の薄汚れた暖簾を押すと「イ

ラッシャイヤセ」。(連載つづく)



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