3/11の主張             文は田島薫



(見殺しについて)

新聞の日曜版で、国境なき医師団に日本人で最初に参加した、

貫戸(かんと)さんという女性医師の話が出ていた。


彼女はボスニア・ヘルツェゴヴィナで、周囲をセルビア人に囲まれ、

孤立したムスリム人たちの町で1年ぐらい活動してた時、セルビアの

攻勢の情報で、知り合ったムスリム人の人々に別れも告げられずに

医師団全員と同様、緊急帰国退去した。


帰国すると、人々や関係者たちに、彼らへの支援を訴えたが、

どこも無反応、無行動だったという。


しばらくたって、そこのムスリム人たちは数千人が行方不明、

知人も死んだそうだ。


当時、あたりではセルビア人クロアチア人ムスリム人それぞれの

「民族浄化」という殺りくが各地であり、それのひとつでしかない

という意見もあったのだろうが、そのひとつだったとしても、

そんな逃げ場のない閉塞状況に自分が置かれ、国際世論では、

だれも助けに来ようとしてない、と知ったらどう感じるだろう。


一般人だろうが、役人だろうが、彼女が帰国した時のそういう

生情報に対して、例えば地元出身の政治家にメールで訴えるとか、

みんなが自分にできることを考えたら世界は少しづつ動くのだ。



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