ユーシロセンセイの三孫日記 4


(三孫の外で飲む人たち)

自動販売機に向かって飲んでいる人たちがいる。

立ち飲み屋の三孫は酒屋でもあるから当然外にたくさんの

自動販売機が並んでいる。

前回言ったように店内の価格は定価より少し高い、

したがってビール、日本酒、ハイリキなどを

どうしても定価で飲みたい人は自動販売機の前で呑む

ことになる。

夏などは扇風機しかない三孫の店内より外のほうが爽やかで

よいが、木枯らしの吹く日に自動販売機を相手におっさんが

一人で缶ビールなど飲んでいる風景は寒い。


外で飲む人にも常連さんがいる、たまに大きな金を

自動販売機用にくずす為に店内に入ってくるので顔はよく知って

いるのだが話したことはない。

店の中で飲んでいる連中は大体顔見知りで当然話に花が

咲いている。そこに外の常連さんが入ってくると

一瞬店内に静寂が走る。


みんなと一緒にここで飲めばいいのになあと思うけれど

彼には彼の事情というものがあるのだろう。




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