11/20のねこさん        文は田島薫

ポネの災難


先週の中ごろの夕方私が風呂に入ってると、突然玄関の方でぎゃーぎゃー、って悲鳴

が聞こえ、外に出てた家人があわてたように玄関から中へ入って来て、ポネのしっぽ

が自転車の車輪にからまっちゃってどうしよー、って騒ぐんで、裸で腰にタオル巻い

ただけで外出たところで、悲鳴が止みポネが道路の方へ走って行くのが見え、自然に

はずれたみたい、って家人が言う。いつも通り自転車の下に出されたごはんを食おう

としたポネの先の曲ったしっぽが車輪と部品のなんかとのすき間に挟まっちゃってた

ようだ。道路際に逃げたのはどうやらむんも一緒だったようで、そこから動かずじっ

とこっちを見てるんで、大丈夫だからおいで、って何度か手招きしてもふたり固まっ

たままなもんでわれわれは玄関の中へ引っ込んだ。その後、容器の中身が減ったのは

何時間か経ってからだった。


ごはんだごはんだ、食うぞ食うぞ、いててて、おばさんががぼくのしっぽを思いきり

引張ってんのかー?いててててて、なんでなんで?いててててー、ごめんごめん、な

んだかわからないけどごめん、手をはなしてくれー、お、はなれたー、逃げろー、ど

きどきどきどき、おばさんぼくをつかまえよーとしてたのかな、やっぱし、あんまし、

気をゆるしちゃいけなかったんだ、世の中そんなにあまいもんじゃないんだ、どーゆ

ーことなのかよくわからないんだけど、おばさん、どっかでぼくのこと怒ってたのか

もしんないんだ、きっとごはんもらってるのにぼくがちゃんとお礼を言わないからか

もしんないんだ、どーすっかな、もー、ここ来んのやめっかな、それとも来んのやめ

ないでお礼も言ってみることにすっかな。


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