9/5のねこさん 文は田島薫
ケンカ売られて
先週の中ごろ、2階の居間で家人と昼食後お茶飲んでると、どっかからねこさんのケンカ声
が聞こえて来たんで、どこだろう、って窓の外を探してみると、奥の家へのアプローチで、
白地に黒ぶちの牛柄のねこさんに、ここんとこたまに見かける小柄な茶とらがさかんにイン
ネンをつけてるところのようだった。正面から向き合ってるんじゃなくて、頭以外の胴体は
おたがいにハの字状に離れてて、茶とらの声がもっとおだやかだったら、ふたりして頭の先
にある景色について論評してるようにも見えたかもしれないんだけど、牛柄の方はじっとだ
まって前方向いてるのに、茶とらの方はじっと牛柄の顔見ながら大声出し続けてる。われわ
れがおもしろがってしばらくながめてると、さわぎを聞きつけて2軒となりの奥さんがやっ
てきてそっちを見たとたん、牛柄が道路の方へ走って、奥さんのわきをすりぬけ、わが家の
雑草の庭のわきを走って行った。
おっと、こりゃまいった、いきなり、ちんぴらにからまれちゃったぞ、どーすっかな、いや
いや、元気がいーねー、これで、こっちも、なんだこんにゃろ、って言ってみてもいーんだ
けど、そーすっと、余計カドが立っちゃって、向こうも、興奮してひっかいてきたら、やだ
しそーされると、こっちも手出しちゃうかもしんないから、そーすっと、ケガさせちゃうの
もやだし、かと言ってやられたまんまにしてるのも困るから、逃げたとすると、今度はこっ
ちが弱虫、ってことになって、次からこいつに大っきー顔されちゃうのも困るし、さて、ど
ーしたもんかな、こーやって、じっとしてれば、だれかが仲裁に来てくれるかもしんないか
ら待ってみよー、ほーら、来た、人間に怒られちゃうから逃げんだかんな、おまえがこわい
んじゃないんだかんなーわかったかー、ばきゃろー、ってことで、めでたしめでたし。