3/14のねこさん        文は田島薫

見張り塔からずっと 2


先週のはじめごろ、けっこう暖かい午後、家人と自転車で食料の買い出しに行く途中の

ねこよこちょう入口角の家の庭。ここんとこ寒さのせいか、あんまりねこさん外へ出て

るのを見かけなかったんだけど、きょうはもしや、って思ってたとおり、庭のテラスの

階段下り口に黄とらが行儀よく足をそろえてこっち向きにおすわりしていた。そばの台

の上にある植木鉢には赤いつばきかなんかがひとつ見えてる。われわれが、よ、って手

を何度か上げてあいさつしてるのを、姿勢は変えないでじっと見ている。


いやいや、ここんとこさみ〜んで、外出てなかったから、その間にためじろーのやつが

帰って来て、だれもぼくを待ってないや、ってがっかりして帰っちゃったかもしんない、

ってすんごく心配だったんだけど、ほら、ぼくも風邪気味だったじゃん(え?しらなか

った?なんつって、ぼくはだれに話しかけてんだろ〜ね)、せっかく長旅から帰って来

たためじろーにいきなし風邪うつしちゃいけない、つって心を鬼にしてたんだよな、心

は鬼で見かけはねこ、つーわけで、で、きょうはもー大丈夫、ってことで、一番外が見

えて、帰って来たためじろーからも一番よく見えるとこに、こー、座って外見張ってる、

つーわけなんだね、ありゃ、またあのあほずら2人組が立ってなんだか手上げてるね〜、

じゃまだね〜、そこに立ってちゃだめなんだよ〜、こらっ、はやく行った行った。


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