12/19のねこさん        文は田島薫

黒とらおあいそなし 4


先週末の午後、家人と自転車で食料買い出しに出かけた途中のねこよこちょう入口角の家。

庭をのぞくと、ここんとこずっとそうだったようにテラス前の縁台の上、黒とらが後ろ向

きに背を丸くしていた。ずっとこれか〜、ってそのままふたりで通り過ぎ、マーケットを

2件はしご。その場合のいつものルート帰り道をやめてわざわざ、ねこよこちょうへ戻る

道にして、さっきの庭をのぞくと、黒とら、今度はしっかりこっちを向いてる。お、って

言って、ちょっと止まってふたりで、なんとなくひかえめに、よ、よ、などと言ってなが

めてると、ねこさん、少しとまどったような顔で固まっている。


いやいや、やっぱずっと、こ〜やって道路と反対のこっち向いてっとおちつくね〜、いろ

んなのと相手しなくてすむんだよな〜、おあいそわらいしなくてもすむし、もっとも、ぼ

くがおあいそわらいしたことあるかど〜かはじぶんでもよくわかんないんだけど、ほら、

だれかが後ろを通って行くね〜、お、あれはあの2人組だ、ぼくにはすぐにわかるんだ。

と、言うことは、もーちょっとで戻って来るかもしんないんで、それをやり過ごしちゃえ

ば、きょうはも〜、一番めんどくさいのには合わなくてすむ、つーわけだ、さてさて、こ

れだけ時間経てばも〜、あいつらは戻って来ない、つーわけだ、じゃ、道路の方もちょっ

と、向いて見っか、って、向いたとたんに、あの2人組、たはー、おいおいおいおい。


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