8/17のねこさん        文は田島薫

ちょっとぼうきゃく


ふつうの暑さになった土曜の夕方、近所のスーパーにきょうは私ひとりで水とキャベ

ツなんかを買に行く途中の稲荷神社となりの家。狭い庭をのぞくと奥の発泡の箱の上

でミケのひとりがごはん食ってる模様。他のはいないかな、って思ってると、ひょい

と垣根のすぐ向こう側にグレーの顔が出た。よ、って声かけたんだけど、前なら急い

で垣根の間から飛び出て来て、すりすりしたりしたこともあったグレー、あんまりこ

っちに感心なさそうに歩いて来ながら口を動かしてるから、ごはんを食い終わってこ

れから昼寝の場所へでも移動しようとしてるとこのようだ。私は数歩先回りして彼が

出て来るはずの小さな門扉の前でかがんでると、グレーはそこから出る手前で立ち止

ってこっちをじっと見てる。私がちょっと指を出して頭をなでようとしたら、ひょっ

と後ろへ首をひっこめて、それでもその場から動かずこっちを見てる。じゃ、ま、い

〜か、って私の方も手を上げて別れた。


いやいや、食った食った、さて、昼寝しに行くか〜、けっこ〜涼しくなってよかった

よな〜ほんと、も〜、ず〜っと寝られない日が続いちゃってたのが、ここんとこは逆

に、ごはん食う他はず〜と寝ちゃってんだよね、なんだかぼ〜っとなってる感じで、

このまま、ぼくはばかになっちゃうかもしんないね〜、いんだいんだ、ばかでけっこ

〜、気持ちよければぜんぶお〜け〜、お、だれかがこっち見てるよ〜だけど、だれだ

っけ?どっかで見たことあるよ〜な気もすんだけど、わかんないわかんない、お、頭

なでる、ってか、思わずよけちゃったけど、知ってる人だったけ?ま、いっか、ごは

ん食った後いろんなこと考えっと疲れちゃうからここは、わかんない、ってことで。


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