8/10のねこさん 文は田島薫
ちょっとだけおあいそ
猛暑がちょっとだけ弛んだ昨日の昼ごろ、焼き立てパンを買おうと近所のスーパー
内のベーカリーへ出かけた途中の稲荷神社となりの家、前の道路にめずらしくグレ
ーが出てて、若いカップルにちやほやされてた。カップルはかわい〜、だとかなん
だとか言いながら、ちょっとさわったり、ながめたりしてるんだけど、グレーの方
は、特に喜んでる風でもなく、そばにいてそれなりのゆるい対応をしてじっとして
いて、私がそれをながめながらちょっと離れたとこをゆっくり通り過ぎようとして
るのにも気づいてない模様、うつろな視線はどこも見てないようだった。
いやいやきょうはけっこ〜涼しくて助かったね〜、きのうなんか暑くても〜死ぬ寸
前の気がしてさ、だって夜も寝らんない、ってきたもんだから、ごはん食ったら、
も〜、きょ〜というきょ〜は、も〜、あっちの陰行って、ぐ〜〜〜っすり、寝よ〜、
って出て来たとこを、おいおい、ねこ好きが来ちゃったよ〜、いやいや、きょ〜は
だめなんだよ〜、つって逃げちゃお〜かな、でも、あんなにうれしそ〜な顔して、
ぼく見て喜んでるとこを、ほっといてくれっ、って行っちゃうのもなんだし、ま、
ぼくも鬼じゃないんだから、ちょっとだけはつきあってやっか、はいはい、なるべ
く早めに切り上げてよね、はいはい、も〜ちょい?ど〜?まだかな?