10/19のねこさん 文は田島薫
見張り塔からずっと
土曜の午後、雨が降りそうな気配だったんで、傘を持って家人と歩きで食料の買い出し
に出かけた途中のねこよこちょう角の家。庭をのぞくと、テラス手前の縁台からはずれ
たさらに手前に黒とらが向こうむいておすわりしてて、縁台の向こうのテラスの手すり
の上に黄とらが横向きに腹ばいになってる。とりあえずふたりにちょっちょって舌で合
図してみると、手前の後ろ向きの黒とらはじっとそのまま動かず、はるか向こうの黄と
らだけが顔をこっちに向けたんで、よ、ってふたりで手上げてあいさつしたら、黄とら
はじっとこっちをにらんでからまた体の向きに顔を戻し、しばらくしてまたこっち見た
んで、また、よ、って手上げたら、にらんでからまた体の向きに顔を戻した。
いつも来るあいつ、台の下に入ろ〜とすんのを、いつも、ためじろーが帰って来た時の
場所だからだめだ、つって追い出してるうちに、最初から外にいるよーになったね〜、
だけど、あ〜やって座ってやがるんで、入口がよく見えなくて、ためじろーが帰って来
た時に気がつかないとまずいから、ここの見晴らしい〜とこに変えたんだよな、見張り。
だけど、こーやって、たまに入口んとこ見るとあいつがこっちをなんだかもの欲しそ〜
にじっと見てるのも気になちゃっうね〜、ど〜すっかね〜、あいつはどっか、目立たな
いとこでおとなしくしてくれてればい〜んだけど、あ〜やって、道のまん中ですわりこ
まれちゃね〜、最初に追い出す時、そっちのわきの方の草んとこかどっかに出てけー、
ってきちんと指図しとけばよかったんだよな〜、さて、あいつのじゃまな頭越しに入口
の方見るてーっと、お、ためじろーか?なんだ、いつものとぼけた2人組だ、おいおい、
手ふってやがる、うっとーしーねー、どいつもこいつも。