3/24のねこさん 文は田島薫
クボセンセーんとこの通いねこさん
きのう、家人とクボセンセーんとこへ遊びに行った時、センセーのほら、って指の先見る
と居間のガラス戸の前にある物置きの屋根に黒と茶が霜降り状の模様んなってるねこさん
がこっちにらんでた。時々来てなんか食べ物もらったり、くつろいだりしてるねこさんな
んだそうだった。そこのさつまあげちぎってやってみな、ってアドバイスの通りに、さつ
まあげのちびっこい切れ端を相手に見せてから、静かにガラス戸開け、ねこさんの鼻先に
それをかざしたんだけど、ねこさん、じっとこっちをにらんでるだけ。センセーからの、
投げてやんな、って再びのアドバイスの通りにしてみる。ねこさんの足元に落ちたはずな
のに、ねこさん、そっちに目をやらずに、まだこっちをにらんだまま。こっちも、しばら
く見合ってると、やがて、めんどくさそうに、ゆ〜っくりそれを拾ってからかんでる。
きょうは天気いいんで、ずっと川のまわりを散歩したり虫をからかったりしてたら、腹へ
っちゃったんだよな、で、いつもごはんくれるおばさんとこでごはん食ってから、ついで
に、ここのねこ好きなおっさんちの庭のでかい箱の上で昼寝でもすっか、って来たわけな
んだけど、って、ぼくはだれに説明してんの?ま、そんな細かいことは気にしないで、で、
あっちのガラスの向こうのおっさんの方見てると、いつも、おっさんが、パンの切れ端み
たいのを投げてくれるんだよな、いつもご飯食った後だから、そんなもん食いたくないん
だけど、おばさんちが留守だったりの万一の時は助かるから、一応ありがたいな〜、って
顔して食ってやって、キープ、ってことなんだね。お、やっぱ、おっさん、こっち向いた
ね〜、また、パンくずかな、あり?今度はちがう変なおっさんが、なんか手に持ってこっ
ち見てるぞ、なに?これを、ぼくに、くれるから、ありがたがって食え、ってか?おいお
い、いつものせこいパンくずが立派すぎるように見えるほどの、さらにせこくてちんけな
もん差し出してるぞ、しょーがね〜な〜、今度だけだぞ、食ってやんの、ばーろー。