11/25のねこさん 文は田島薫
兄貴腹ぺこで帰る
先週末の夕方、家人と近所のスーパーでビールや牛乳なんかを買った帰りの稲荷神社と
なりの家の狭い庭を見ると、垣根のすぐ向こう側にミケの小さい方がこっち向いて座っ
てたんで、お、いたいた、ってすぐそばまでふたりで行っても逃げないんで鼻の頭をさ
わろうとすると、ひょい、と身を引かれた。あたりを見回してると、奥の家のアプロー
チからグレーがこっちへ歩いて来て足下へ来た。お、なんだ、グレーもいるか〜、って
言ってる時、同時にアプローチわきの神社の草むらあたりに大きい方のミケもいるのが
わかった。なんだみんないるじゃね〜の、大きい方も帰ってたんだ、って、言ってるそ
ばでグレーがわれわれの足元をすりすりしてる。じゃ、って帰ることにすると、そのま
まグレーはついて来るパターン。家まで着くと荷物置いてから、今度は私だけグレーを
送って行くとアプローチの奥から奥さんが歩いて来た。ミケの大きい方は十日間ぐらい
行方不明だったのが帰って来たそうでその時、まだ食うか、ってほどたくさんごはんを
食った、ってことだった。
いやいや、兄貴が帰って来て安心したね〜、ぼくも探しに行っちゃたりして心配してた
んだよな、心配で元気なくしてほこら入っちゃったのもいたし。いやいや、兄貴帰って
来たときにゃ、ぼくらは、ほらほら、兄貴、先にごはん食っていーっすよ、ってわきに
よけて兄貴が食い終った残りをもらお〜と思ってたら、兄貴、全部食っちゃうもんだか
ら、おばさ〜ん、って呼んでもう一回ごはん皿に入れてもらったんだよな、そしたら兄
貴それもまた全部ひとりで食っちゃうじゃね〜の、で、またおばさ〜ん、って呼んでま
た新しいごはんもらったんだけど、それも食われそうだったんで、今度はぼくらも食わ
してもらいます、って一緒に食ったんだけど、兄貴のが食うの早いもんだから、なんだ
かまだ腹いっぱいじゃないのに、おばさん、空の皿見て良く食ったね〜、って。ぼくら
はまだ食いたりないんだよ〜、つったんだけど、も〜ごはん出なかったね、とほほ。