4/30のねこさん 文は田島薫
ねこさんが来て帰った
連休前の週末、ねこねこ、って2階から家人の声がした。どこ?って聞くと、アプロ
ーチ、って言うんで、フェンス向こうの奥の家へのコンクリの上だと思って玄関を開
けると、すぐ目の先の雑草に囲まれた細い土の上をまだ大人になりきってない小さめ
のしろくろぶちのねこさんが道路の方へ小走りして行くとこだった。ねこさん道路ま
で出てからふり返り、おーい、って声かけたのを無視したまま道路を渡って向かいの
アパートのわきを奥の方へ入って行って見えなくなった。
ねこさんが歩いて来たアプローチはわが家のだったようで、玄関前まで来た時、ふい
にドアが開いたもんでびっくりして逃げたようだ。
や〜、散歩気持ちい〜ね〜このあたりは、草や木なんかもあるし、道だってきれいで
歩きやすいし、あり?こっちはいきなり山か〜?道の感じがちがうね〜、なんだかき
たないようだけど、そうでもないような、においもするけど、そんなにやじゃない感
じ、おいおい、草に囲まれちゃったぞ、山だ、山だ、どんどん行ってみよー、って言
ったとたんに、なんだいへんな台があって、おっと、だれか出て来た、鬼か〜?やば
い、山から逃げなくちゃ、ととととと、なんだはやいね〜、もー、元の場所だ、後ろ
ふり返ってみっと、おいおい、鬼が呼んでるぜ、戻って来い、ってか?そーはいかな
いんだよー、だっ、食われちゃうんだろ、わかってんだよー、だっ、ばーろー。