1/7のねこさん        文は田島薫

賀正ねこさん

先週の新年よく晴れた元旦の昼過ぎ、家人と映画観よう、って駅の方歩いて行った途

中の路地の住宅。よく手入れされた植木が見える門柱のすぐわきの木塀の上に小ぎれ

いな茶のねこさんがまねきねこのように丸くなって座っている。われわれは、お、ね

こさんだ、って、立ち止ってじっとながめてたんだけど、ねこさんの方も別に動じる

こともなくしばらくゆったりとこっちをながめてから、ゆっくり体勢を真横に替えて、

見てるわれわれのことはほっといたままくつろいでる模様。


いや〜、気持ちいい日だね〜、どーゆーわけかどこもかしこもきれいになってる感じ

だし、きょうはこの上がなんだか一番いい感じだね〜、こ〜、空気がオイシイ、つー

か、ぼくのためにだれかが特等席を用意してくれた、って感じ。こ〜、見渡すと、景

色がみんなぼくのために整列して、ぼくの命令を待ってる、って感じだね〜。でも、

ぼくは特に命令はないよ、きみたちも、ぼくのようにゆっくりくつろいでていいよ、

ゆるす、や〜、こ〜ゆったりここに座ってるぼくって、ひょっとすっと、世界の指導

者か〜?あ、ぼくを見てる人がいるぞ、なんだい?ぼくに用かい?用じゃないなら、

あっち行きなさい、命令ですよ、あり?ゆーこと聞かないね〜、ん〜、ゆーこと聞か

ないやつとはつきあわないんだ世界の指導者としては、こっち向いちゃお、っと。


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