9/20のねこさん 文は田島薫
ねこさん発見
茨城へ来て全然ねこさんを見ずに2週間経つ先週、家人とふたりで親父の病院に見舞いに
行くため、病院循環無料バス乗って外見てるとちょうどどっかの集落のゆるやかな上り坂
進行方向の道路をくろっぽい小さいねこさんが右から左へ横断してるのが見えたんで、思
わず、あ、ねこだねこだ、あ、そこのバスの後ろ行った、って家人に伝えたんだけど、バ
スは自分らが乗ってるやつで、道路わきの手前にあったのは実はバスじゃなくて荷台にな
んだか小さなコンテナのようなものを積んだ軽トラだった。通り過ぎる時、ふたりでそっ
ちをのぞいたけど、もう姿は見えなかった。
や〜、ぼくはいなかのねこなんだね〜、今朝もちょっと畑のわきの方を散歩したりしてバ
ッタなんかをつかまえたりしてから帰って来たとこなんだ。けんか相手もいない代わりに
友だちもいない、ちょっとさびしいけど平凡でのどかな生活をずっとしてるんだ。さて、
ばあちゃんに朝ご飯もらったら昼寝するだけだ、って思ってると、あれ?きょうはなんだ
か、ぼくをだれかが大声で呼んでるような気がすんね、あ、あっちから来る車から感じる
んだ、なんだなんだ、おいおい、どうしたどした、この感じ、やば、ちょっとこの車の影
に隠れて、うわっ、通り過ぎた。で、だんだん呼び声が小さくなってゆく。ま、だれかが
ひとりぼっちでさびしいぼくを見つけて、なんかいいこと言ってくれたんだね。きっと神
さまかもしんないね。