12/4のねこさん 文は田島薫
チビクロまっくろ喰う
今朝、ビールの空き缶を捨てに行こうとしたら(ここまで先週と同じ)、道路反対側のア
パートの入口の電柱のかげで、チビクロまっくろが、そこの住人のおっさんにエサをもら
って食べてたもんで、そっち見ながら道路出たら、右の方からふいに、近所のスーパーの
レジやってるおねえさんが自転車で通勤するところと出くわし、先におはようございます、
って言われたんで、背中におはにょごぜます、などと慌てて返事した。
缶捨てて帰って来たら、おっさんはいなくて、チビクロまっくろだけがまだ、うずくまっ
て食べてたもんで、家入らないでしばらくながめてたら、時々こっちじっと見ちゃ、ちょ
っと考え込んでから、また食べたりしてる。
ここのおじさん、ぼか〜好きだね〜、いつもぼくの大好きなエサくれるんだ。も〜ひたす
ら食べちゃうね〜、オレイも言わないで、だって、オレイ言うねこ、ってもんはあんまり
いないだろうから、ぼくもそれをとくにとがめられる心配もないし、安心なんだ。も〜、
そばをだれが通ったって知ったこっちゃないんだね、カッシュカッシュカッシュ。ふと、
顔を上げて見てみると、あ、こないだ、ふるーいビスケットくれた人だ、あんなもんしか
くれないもんで、ぼか〜、こまったね〜、一応、気をわるくさせちゃいけないと思って、
口に入れるマネしてやったけど、あれはまいった。あの人がいなくなってから吐き出した
んだけど。あれ、あの人お腹すいてて、ぼくのエサをうらやましがってんのかな、こない
だビスケットあげたよな、ってか?ま、なんてこたないだろな。だいじゃぶだいじょぶ、
カッシュカッシュカッシュ。