9/21のねこさん        文は田島薫

くろねたおふくろを気に入る

私と家人は今週末にはさいたま市へ帰る予定なんで、茨城のねこさんは多分きょうが最終

回ってことになっちゃうんだけど、気まぐれなねこさんたち、前回の時はひんぱんに顔見

せたのに、先週の火曜からは全然来ない。ってわけで、先週の月曜日に来たくろねたをね

たにした一週間前のきょうのねこさん。

先週のきょう、前日の日曜に散歩に来たくろねたのことを午前中書きおわり、午後もそろ

そろお茶の時間になるころ、廊下の籐椅子に座ってたおふくろが、ねこがこっち見てるよ、

って言うんで、そっち見てみると、手作りひょうたん池のセメント橋の上にきょうはこっ

ち向きにくつろぎながら寝そべって、たしかにおふくろの顔を見てる。

あ、ほんとだ、へ〜、などと家人と言いながらながめてから、ほっといて、またしばらく

したら、またおふくろが、そば来て人の顔見てるよー、って言うんで、見ると橋の上には

彼の姿なく、おふくろのそばまで行き縁側の外見るとすぐ真下まで移動して来て寝そべっ

ておふくろの顔を熱心に見上げている。

どうしたんだろうね〜、などと家人も交えた3人で言い合いながら、くろねたをながめた

ら、彼の方もおふくろを見る目を時々われわれの方にも分けてくれたりしながらも、やっ

ぱりおふくろの顔を見つめている。

5分ぐらいはそうやって見つめあってから、そろそろ私の方が飽きて、お茶にしようか、

って提案して、2階でうたた寝してるおやじを呼びに行こうとしたら、何かを察したくろ

ねた、さっさとどっかへ行っちゃった。

や〜、いい天気で気持ちいいね〜、きょうは橋の上で昼寝しちゃおうかな〜、でもきのう

みたいにまた後ろから声かけられちゃうとびっくりしちゃうから、前もって前向いとこー。

さいわいいじわるじーさんもるすのようでよかった。おや、あっちの廊下んとこにもぼく

と同じ気分の仲間がいるようだぞ。うとうとと目ほそめて、やさしそうで安心するね〜、

ひとの顔見ると大騒ぎするいじわるじじーとは大違いのおだやかな雰囲気。なんだか惹き

付けられるね〜、ちょっとそば寄ってちゃおー、ずるずるずる、っと身体を移動してと。

うーん、ここなら顔がよく見える、うん、なんだかなつかしい子供の時の気持ちになんね

〜、あれ?もしかすると、ぼくのかあちゃんかな、ほかのひとも来たけど、笑ってるから

大丈夫そうだな。うん、居心地わるくないぞ。しかししあわせな時間は長くは続かないも

んで、ほらほらほら、いじわるじーさんが来そうなぼくの第六感が。


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