10/14のねこさん 文は田島薫
えりまきねこさん
先週2階の居間から下見てた同居人が、あ、うまちゃん首にラッパつけてる、って言
うんで、どれどれ、ってベランダまで行ったんだけど、素早くフェンスの裏に消えた
ようで、見れなかった。
今朝、燃えるゴミ出して戻って来て、バレエ教室の前の家のオヤジと垣根の白い花の
名前を教えてもらってたりしたら、後で、カコキカコキ、って不思議な音がしたもん
で振り返ると、じぶんちのとなりの家の塀の上に首に透明プラスチックのラッパを装
着したうまちゃんが後ろ足でラッパをけってるとこだった。
どうも顔にちょっとした怪我があって薬をつけてもらってて、それをひっかくのを防
止してるのが役目のラッパが仕事をりっぱに果たしてる瞬間だった。
お、ラッパのうまちゃん、いいね〜、などと少しおもしろがって近づいて行くと、さ
っさと塀を下りて、家の後ろの暗がりに隠れるようにどんどん歩いて行ってしまった。
うまちゃんはいつも無愛想なんだけど、いつも声かける私らのことは気になってるは
ずで、会話してる後ろからじっと観察してたんだけど、顔がかゆくなって、思わず、
足でラッパかいちゃったもんで、透明のおかげで少し忘れてたそれを思い出し、おっ
とカッコワリーとこ見てもらいたくないなー、って、退散退散って言いながら退散し
たのだろう。