1/15のねこさん 文は田島薫
ねこさん2題
や〜、まいったまいった、江戸川橋にいた時も、ねこさん見えない日があった
んだけど、きょうはだれも来ないか〜?、って陽が傾いてあきらめた頃、だれ
かしらがのそのそやって来ることが多かったし、1週間のうちにはけっこう話
のタネをみつけられたもんなのに、さいたま市のこっちではは1週間かかって、
2回しかねこさん見てない。
もっとも先週は仕事出してくれてる都内の友人の会社に行ったり、親戚の法事
に泊り掛けで出かけたりしてたせいもあるんだけど。
で、その貴重なねこさん目撃報告。
1回目は都内に出かけるんで同居人と朝家出たら、となりのバレエ教室の前の
道路の向こうにそこの愛想いい梅ちゃんが立ってて、こっちに気がつくと、ふ
つうの表情したままこっちへ寄って来てなでなでされた後、われわれが、さて、
って行こうとすると、ちょっとついて来るそぶり見せてから、気がついて残念
そうに立ち止まって、ずっと見送ってくれた。
2回目は週末の朝、2階の居間の外見て同居人が、あっ、ねこだ、って言ったん
で、どこどこ?、ほら、あそこ、ってベランダのガラス越しに見ると、となり
のバレエ教室の道路ぎわのフェンスエンドのコンクリ土台のふちに無愛想くろ
とらのシルエットが小さく見えた。
おいおい、やっぱり、おまえだけか〜、ってちょっとテンション下がりながら
も、ベランダ出てって、彼からもこっちが見える位置で、ちょっちょっ、って
舌で合図したりしてたら、気がついてじっとこっちを見つめてる。
いつもひとりぼっちで遊んでいる彼だけど、こないだひとりで寂しそうな顔し
てるの見てからは、なんだか孤独に耐えてる物思いねこ、ってなふうに見える
な〜、って思ってた、次の瞬間、元気にフェンスの裏に飛び去った。