8/20ののらねこ 文は田島薫
ねこウォッチング
猛暑のせいか、ねこさんを見かける機会がこのごろはずいぶん減ってしまった。
今朝いつもの時間に地下鉄の出口を出ると、ほっそりした茶トラが前の道路を横
切って向こう側のコンクリの花壇の上に飛び上がって行くのが見えた。
久々のねこさんだったので、一部始終を見てたんだけど、花壇の向こうのかげに
見えなくなったんで、歩きはじめてから、またそっちを振り返ってみたら、いつ
も同じ電車で下りるねこ好きの女性といつも自転車で彼女を迎えに来てる同じく
ねこ好きの中年オヤジが(以前彼らふたりが、路地を歩き回ってねこにエサを上
げてるのを目撃したことがあるのだ)いっしょにねこが消えて行った花壇のそば
に立って、奥を見つめたり顔を見合わせたりして何かしゃべっていた。
やっぱり、彼らにとっても、久しぶりのねこさんだったよーだ。
午後、路地の見回りに行ったら北側の弁当屋の中で三毛が座って何か出してもら
うのを待ってるようだった背中をながめたら、すぐに振り返って、こっちをじっ
と見つめたんで、何んでもありませんよ、って顔で言ってから離れた。
他にねこさんいなかったんで、帰って来て、階段上がって行くと、2階のベラン
ダの日陰でバットマンが寝そべっていたんで、腹を何回かかいてやったら、退屈
そうにアクビをひとつした。
バットマンはいつもちょっとだけ、コラムのネタ補充に協力してくれるのだ。