7/14ののらねこ 文は田島薫
霧雨の中早番のクボセンセイが朝来ると、まだらはベランダ奥の青いビニールシートの下で自転車といっしょに寝ていた。
水道メーターの上にあるはずのいつもの箱は下に落ちていて、敷かれてた新聞紙は風に飛ばされていたそうだから、そこで寝られなかったのだろう。
箱の外ならつーとんのお腹のところにくっついて寝るのが好きなのだけど、どうやら、つーとんはひとりで、ひみつのエサやりレディのところへ行ったのかも知れなく、
寝床を失ったひとりぼっちのまだらは自転車をつーとんの変わりにしたのだ。
センセイと目であいさつをかわすと、伸びをしてから、寄って来て、センセイがエサの用意をしている間じゅう、早くしてくれ、にゃーにゃーと言った。
私が少し遅れて出勤した時は、皿のエサはほとんど空だったから、やっぱり、まだらは
はらぺこだったのだろう。
午後になると、雨も上がり、それぞれ違うメニューで食事を済ませたらしいふたりが、一階の物置きの屋根の上で、無事くっついてしあわせそうに寝ていた。
近所に買物に行って帰って来たら、2階の踊り場から、向こうのねこけものみちの方へ、ひさしぶりのバットマンが少し逃げるように帰って行くとこだったので、呼びかけて
みたらちょっと立ちどまったけど、物置き屋根のふたりぐみと目があったせいもあって、
行ってしまった。
考えたら、まだらが食べ終えた空の皿にエサを補充し忘れていた。わりいわりい。バットマン、リタ〜ン!