12/16のねこさん       文は田島薫

ニケ、急いで階段を下りてみる


ニケがまた朝からベランダに来て、ガラス戸の向こうから居

間の中をじっと見てるんで、入れてやってもよかったんだけ

ど、忙しい家人がカゴに入れた洗濯物を干すのに手前に置い

てるし、少し待たせてもいいか、ってことで、私は自分の朝

の体操を続けてて、それを30分ぐらい見てたニケ、何かの物

音を聞いて、大急ぎで階段を駆け下りた。窓から下の玄関前

を見てみると、ニケが呆然としてた。


か〜い〜、ぼくちゃんが来てるんですけど、つってるのに、

全然中入れてくんないな〜、ど〜した、ってんだ、中入れて

くれて、おやつのひとつもくれて、体のぼくが、やれっ、つ

ったとこのマッサージのひとつもすればい〜じゃね〜か、こ

んにゃろー、いつまで待たせんだ、しまいにゃ、おこるよ〜、

お、下からおばさんがおやつ持ってドアが開けた音がしたっ、

ととととととと、あれ? おばさんもおやつもいない


戻る