1/2のねこさん 文は田島薫
パネはなにかを待っている
そこそこ晴れて空気も澄んだきのうの元日の午後、わが家の庭の前の
道路の電信に寄りかかったパネがしきりにあたりを見回してる。
道路はだれも歩いて来る気配はない。
あれ〜、きょうはだれも来ないよ〜だね〜、おっかし〜ね〜、いつも
ここにいると、たいてい、だれか来て、うんまいもんくれたり、頭な
でたりするんだけど、もっとも、きれいなおね〜さんに頭なでられる
のは好きなんだけど、おやじみたいのになでられるのは、ほんとはだ
いっきらい、なんだよな、でも、おやじに、やめろ、っていやがって
とこを、きれいなおね〜さんに見られたら、あら、なでられるのがき
らいなねこさんなのね、ってことになっちゃうから、おやじのそれも
ぐっと、がまんしてたえてるんだよね、はやくやめろっにゃろっ、て
思いながら、それにしてもおね〜さん来ないね〜、おやじは来なくて
い〜んだけど。