1/2のねこさん       文は田島薫

グレ走って来る


師走になって、日暮になるとわが家の前の階段のある坂の上で待って

ることが多くなった、ねこさんたちの母親であるグレに、大晦日の夜

に家人がごはんを持って行ってみると、いなかったんだけど、それを

いつも置く小さな自転車置き場のすみに置いて来たんで、多分食い終

わってるから空容器を取って来ることを頼まれた私が行ってみると、

まだごはんは減ってなかったんだけど、ちょうどその時、薄暗い道の

向こうからグレがなきながら走って来た。


腹減っちゃって、ごはんくれる人がいた場所をずっと見回ってるんだ

けど、いつもいるわけじゃなくて、ず〜っと前にもらってからとんと

来ないとこもあって、大変なんだね〜食うことは、ここんとこたいて

いくれる人が来る場所に来なかったら、も〜、きょうは寒い夜を腹ぺ

このまま過ごさなくちゃならないんで、だいじょぶかなだいじょぶか

な、って行くのがおっかなくてちょっと遅れちゃったんだよね。え〜

と、あれ、あ、いたよね、いたいた、いたいた、よかったー


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