8/29のしゅちょう
            文は田島薫

(戦争を止める方法、について 16)


先日の新聞コラムでウクライナの政治学者が、侵略者ロシアに抵抗する自

国の正当性を強調した後、西側が長引く戦闘を止めるために妥協的になっ

てウクライナへの支援やロシアへの制裁をやめることを怖れてて、それは

不法のロシアを肯定することになり、次の侵略行動を招くことにもなる、

ってようなことを言ってた。

その、理が通ってるように聞こえるそれと同じ主張をするウクライナ人は

けっこう多いのかもしれないんだけど、それはイコール、これからいつま

で続くかもしれない今まで以上のどれだけ増えるかもわからない死者を出

す双方の殺し合いを容認する、って言ってると同じことなのだ。

そういう主張をする者はたいてい自分が前線で命の危機の中にはいないも

んで、実際身内を殺された者が言う場合は恨みを晴らしたい、って精神状

態にいたり、兵士なら、愛国心に燃え、自分の命を犠牲にしてもいい、っ

て感じてるのかもしれないけど、そういった現場の者なら、それなりに説

得力のようなものがあったとしても、そうじゃない、安全を保証された場

所やまして他国で言う者の話は無責任この上ない。

それに、現場にいる者の心情にしても、戦争状態の中ではもう精神状態は

そうとう病的になってることが多いのは、わが国の戦地体験者の話を聞い

てもわかるわけで、戦争の現場にいる兵士だって、元々は自分の意志と言

うよりも為政者の取り決めた方針に従わされてる場合がほとんどなのだ。

そういう状況の中で個人が戦争反対、って言うことは難しいことになるの

だから、少なくとも、戦争当事国以外の国はなんとか戦争終結の仲裁に努

めることが是非必要なんであって、どんな戦争でも、一方の理を支持して

支援してそれを継続させるのは間違いなのだ。

侵略者ロシア、プ−チン大統領は悪い独裁者だ、って断罪して滅ぼすのが

正しい、って言う第三者が高見の見物してていいはずはないのだ。

戦争継続すれば双方の犠牲者は増大するばかりだし、悪と名指しされたロ

シアは核兵器の使用もありうる、って公言もしてるのだ。

ロシアの侵攻以前に、ウクライナの反ロシア派武装集団が親ロシア派住民

を攻撃してた、って報告もあるのだし、完全な正義なんてものは双方のど

ちらにもないはずなのに、西側は自分たちの前科は棚に上げて、プーチン

大統領を悪、と決めつけ「正義の戦い」続けてる間に、ロシア側の無垢の

若者たちが兵士としてすでに数万人は死んでるのだ。




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