●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさんと友人との新鮮な試み。



本の交換


最近、近所の友人と古本の交換を行った。

その友人とは昔のママ友で、しばらく交流がなかったのだが、偶然道で出会い、立

ち話をするうち本好きなのを知った。

古本が溜まって…と彼女、今引っ越しで本の整理中…と私。そこで話がまとまった。

当日、どんな本がやってくるのかワクワクしていたのだが、それらは今日本の現代

文学界をリードする作家の作品とか、いままで私がまったく手にしなかったアメリ

カの推理小説だった。

よくどんな本を読むかを知れば、その人となりがわかるという。

”人は書棚で思想を、冷蔵庫で嗜好を見る“なんていわれることもある。

なるほど、本の交換はある意味で頭の中をさらけ出すことであり、なかなか意味深

いもので、ちょっと恥ずかしさも伴う。

それに読後に共感すれば、ますます交換者と理解が進み、反発すれば、気が合わな

いということになるかもしれない。

ほんの交換は勇気がいるものだ。

幸いこのたびの交換は無難な本ばかりで、私にとっては、むしろ、新しいジャンル

を拓いてくれるチャンスとなった。

そして、交換した本を読みながら、このくだりを友人はどんな気持ちで読んだのだ

ろう、そしてどんな感想を持ったのだろう、といった内容とは別の、ともに本をな

ぞる興味も抱いた。

いずれ、読後の感想を話し合う機会をもって文学的な交流を広げたい。


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