2/21のしゅちょう
            文は田島薫

(幸福の3原則、について)


私は新聞の読書欄や書籍広告を読むのが好きで、たいていはそこにそれぞれ

の本の内容が要約されてるんで、頭の中で色々ふくらませたり連想したりし

て新しい情報なり認識なりを勝手に納得するのが楽しいのだ。そんなことを

言うと、きちんと全部読んでもいないで早とちりしたり、誤解したりする恐

れがあるだろう、って批判する人もいるかもしれないんだけど、毎日大量に

出される新刊書を全てすみからすみまで読むのは不可能だし、要約を読んで

から興味を持った本を本屋で実際に手に取って立ち読みしてみても、要約の

内容以上のことが載ってることは稀で、特にベストセラーをねらったような

ノウハウ本はほぼ要約読めば足りることが多い印象なのだ。

で、昨日は、表題の趣旨の本の広告を読み、なるほど、と感心したんで、著

者としては買って読んでもらいたいところを、じゃまするようなら申し訳な

いんだけど、本当に興味持った人なら、私の話だけじゃ信用できない、って

買って読むかもしれない、ってことでそれのご紹介を。

人が幸福を感じるのは、脳内物質が充分働いてる時だ、ってことで、まず、

1つめはセロトニン、って不安解消する働きを持つ物質で、うつ病はそれの

不足が原因だ、って医学的実証もされてるようで、それを作るのはタンパク

質が主で、それは食事で補給しなければならない。

2つめはオキシトシン、って人との愛情のつながりを感じさせる物質で、こ

れはビタミンや脂質などから作られ、動物と触れあったり、人に親切にした

り、人からのそれを感じた時に出るらしい。

3つめはドーパミン、何か意義ある志や行動によって気分が高揚する時に出

る物質で、これも成分はなにかの栄養素のはず。

の3つが基本で、3つめのドーパミンが出るためには1つめと2つめのセロトニ

ンとオキシトシンが出るための心身の基本が必要で、それは正に健康、って

ことが幸福の一番の基礎だ、って当たり前的再確認のようだ。

で、3つめのようななにかの偉業を達成しなくても、2つめまでの脳内物質が

働いてれば、それだけで充分に幸福になれるのだ、と。

人は幸福について考える時、健康を飛ばして成功だけを求めても幸福にはな

りにくい、ってことなんだろう。

そう言えば、ごく平凡で慎ましくても幸せそうに暮してる人々がいる一方、

なにかに成功して憧れられるような有名人が、実は孤独の中で辛い思いをし

て苦しんでると言った話もよく聞くわけで、それでも、不健康で病気になり

苦しさの中で早死にしてもなにかを成し遂げる方が、健康でもぬくぬくなに

も生み出さない凡庸な生活者よりいい、って思う者がいたら、それはそれで

かまわないにしても、それよりも、健康で幸せいっぱい長生きして、なにか

意義あることを成し遂げた方がもっといいんじゃないのか、と。



ご感想は「しゅちょう感想」と書いてこちらへ(今号中か次号に掲載)に




戻る