11/14のしゅちょう
            文は田島薫

(戦争を止める方法、について 27)


ウクライナ軍の攻勢で劣勢になったロシア軍は、これ以上自国軍の兵士の

命を失うことを避けるためとして、占領してた南部のヘルソン州の州都か

らドニエプル川東岸へ撤退したんだけど、それをウクライナ側は自国の勝

利だと喜んでて、ロシア側は自国軍の大きな敗北と感じてるはずと西側メ

ディアは伝えてるんだけど、勝利と敗北、って単純に図式化して一気一優

するのは馬鹿げたことなんじゃないのか。

自国軍が優勢に戦って成果を出してれば、最終的勝利に近づいたようにも

見えるだろうし、占領されてた自分らの土地を奪い返えせた、って思えば、

嬉しい気分にもなるだろうから非難することもないんだけど、いまだ戦争

は終結してないわけだし、ロシアが敗北を認めたわけでもないのだから、

今後、ロシアが大反撃する可能性もあるのだ。

それに、戦争の問題点は日々、戦う双方の人命が失われる、ってことのわ

けで、たとえ最終的に大勝利ということになったとしても、双方に莫大な

数の死者が出てたら、空しいことのわけで、今回のロシア軍の小さな撤退

が敗北じゃない、って主張するロシア側にも一理あるのだ。

国全体の志気を高めるために、撤退は禁止して玉砕を勧めた旧日本軍のよ

うなことをせず、そのまま戦えば大量の死者を出すことを防ぐ、といった

撤退は、大きな意味で言えばよいことなのだ。

劣勢を認めてロシア軍が撤退することがウクライナ全土で起きたとしたら、

それは一般的には敗北、と称されるかもしれないけど、そこで多くの命を

救うことができたのだから、見方を変えて、世界平和のためにどっちがよ

かたか、って考えたら、祖国のためにとかなんとか言って徹底抗戦し合っ

て、今までのもっと上を行く数の死者を出すより、そこからは死者ゼロ、

ってことになる方が、勝利そのものだろう。

勝った負けた、って意地を張り合うことは愚かな行動なんだから、そんな

価値観はもう為政者たちは捨てるべきなのだ。

必要な戦争などない、って世界が認識して、軍拡競争などは、軍事産業だ

けが喜ぶ危険な政策だと気づくのがいいんだけど、そう言うと、たいてい、

危険な国が侵略して来たらどうするのだ、ってことを言う者が後を断たな

いのは、各国相互の事情や都合を想像して支援しあったり、敬意を忘れな

い外交をしたりするよりも相手を敵視する考え方をしてる自分が一番危険

なのだ、ってことに気づいてないせいなのだ。




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