●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさん、技を考えつきました。



老いていく知恵 2


今、国会は自民党議員の統一教会との関連追及で揉めている。

特に山際議員が証拠写真を見せられても「記憶にありません」の連発には呆れた。

こんな忘れっぽい人が現役の議員で日本は大丈夫だろうか、と心底心配したものだ。

ま、当人は首がかかっているからとぼけていたのは見え見えだったが・・・

ところが、これがただの年寄りだったらどうだろう?

「覚えていません」といえば、ああ、ついにボケがきたか、で済まされるだろう。

私はこの頃、名前が出てこないとか買うべき物を忘れるとか、とにかく忘れっぽく

なった。

そこで、そのことを悩むよりは受け入れて、何かを聞かれたり頼まれたら「知らな

い」「できない」と言ってしまえば物事すべて楽になるのではないだろうか。だが、

それではすっかり世間から取り残されてしまうかもしれないので、すぐ結論を言わ

ないことだ。

物事を頼まれたら、「う〜ん、それは・・・」できないという前に腕を組んで返事

を伸ばす。自分ができるかできないか即決しない、決断の遅さは熟考するように見

えるかもしれない。

何かを聞かれて、「よく知らない」といえば、相手は優位に立って、自分の知って

いることをとうとうと説明してくれるだろう。それを静かに聞いていれば、自分の

知識の補足になる。そして深く頷けば、さすが年の功、聞き上手と思ってくれるか

もしれない。


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