●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさん、自分の判断に確信を持ったようです。
老いていく知恵 1
今、私は娘一家と暮らしている。
そのことを友人に言うと、大抵の人は、その歳でもう娘に頼っているの? 途中
で一緒になるのは気づまりでしょ? 一人暮らしの方がずっと自由で気楽でいい
のに・・・と、そんな言葉を何度も聞いた。
それでも私の場合、様々な事柄をチェックして熟考を重ね、この選択肢を選んだ。
そして、約半年過ぎた。が、これで良かったと後悔はしていない。
きっと、失ったものもあるのだろうが、今のところ得るものの方が多いと思う。
規則正しい生活、夕食作りをして誰かの役に立っているという充実感、会話のあ
る日常、若い人たちとの交流による新しい発見などなど、現役感覚で日々暮らす
ことができている。
ただ、世代の異なる、そしてたまにしか会わなかった者同士が急に毎日顔を突き
合わせるようになったのだ。やはり戸惑ったり面白くないことだってある。
そんなときは自分の部屋に引き取って一人になる。
いくらだって逃げ道はあるのだ。
大体、人間というものは、生きて入れば何かしら不満があるもの。
毎日ぶつぶつ文句を言いながら暮らして、人生をまっとうするものだと思うので
ある。