●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、一人暮らしをしてなにかを悟りました。
心を外へ
コロナ禍が三年目に突入しようとしている。
コロナ禍で私たちの生活は一変した。
誰かと会ってしゃべり、街で買い物し、音楽会に行き、旅をする、そんな大切に
してきた自由な日々の営みの多くが「不要不急」で切り捨てられた。
そして私の場合、この半年は、見知らぬ土地での仮住まいに加え、初めての一人
暮らし。その環境変化は大きなものだった
自粛のため、家の中での趣味で気持ちを紛らわすことは、それがいくら自分の好
みのものであっても限界がある。すでに内側に抱え込んだものと交じり合って複
雑な反応を起すのであった。
ところで、関東で新年早々大雪が降った。
私の住む町も辺りはすっかり白く覆われ、いつもと違う景色が広がった。見慣れ
た風景がまったく別に見える。
木々が雪の花を咲かせ、道は白い一筋の線となっている。いつもの家並みも雪の
帽子をかぶり、まるでおとぎの国のようである。
私は一日にしてこのように景色を変えてしまう自然の力に感動した。
そして自然がもたらす心への影響は大きい。
なにも大袈裟な自然でなくても身近な緑の多い公園でもいい。木々を見て、池を
見て、草花を見て、ささやかな自然の中に身を委ねることは心の解放である。
心は内に閉じ込めるものではなく、外に連れ出すものなのかもしれない。
この半年、私は少し心が内向きだったような気がする。。
ようやく新築中の家が完成。月末にはいよいよ念願の引っ越しである。半年の寂
しかった一人暮らしが終わる。