6/7のねこさん 文は田島薫
食いたくなくなったパネ
普段いつもごはんの皿に首つっこんで食ってるとこばっかり見られる
パネが先週の日曜から食わなくなり、玄関すみや草むらでじっと寝て
るもんで、時々、ごはんを手に持って口元へ持っててやるんだけど、
いつも迷惑そうに顔を背け、医者につれて行こう、って朝には向いの
アパートのわきのかぎのかかったフェンスの向こうの草むらでじっと
してるもんで、家人や私は、出て来い、ってさかんに手招きしたり、
裏からまわったりしてばたばた歩き回った。
なんだか気持わりくてさ〜、なんにも食いたくないんだよね〜、それ
なのに、おばさんたちは食い物をぼくの鼻先に持って来て食え食え、
って言うもんで、余計気持わりくなっちゃってさ〜、そだ、おばさん
たちが来られないとこに逃げちゃお〜、ってここに来たんだけど、あ
っちから呼んでるね〜、ほっといてくんないかな〜、ど〜も後ろの方
からもさわぐ声がするから、おちおち休んでらんないね〜、しょ〜
がないね〜、あんまし、心配させんのもなんだから、あっち戻るか。