●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、知らぬまに夢中になっちゃったようです。
シリーズ散歩日和
只今散歩中断
友人から電話が入って、ぜひ読んでほしいお勧めの本があるという。
とにかく、もうテレビも家事もそこそこに暇さえあれば読んでしまうのだという。
「私も友達から勧められて手に取ったんだけど、とにかく面白くて面白くて。読んでる
と次はどうなるんだろうと後をひくのよ」
あまり本好きではない友人が熱っぽく語るのだ。
そんな面白い本ならば私も…と紹介してもらい、手に取った。
高田郁著『あきない世傳 金と銀』
文庫本で10巻もあるというので、とりあえず、私は図書館から借りた。
私は高田郁という作家を知らなかったのだが、『みをつくし料理帖』を書いたベストセ
ラー作家だそう。
江戸時代の呉服屋の商いの話なのだが、なるほど、さすがにベストセラー作家、とても
読みやすく話の展開がうまく、目が離せない。
一気に3巻読み上げたところで立ち止まる。
江戸時代の風俗や因習などもよく調べて書いてあり、興味深い。
ただ主人公が紆余曲折はあるものの、あまりにも聡明な思考やどんどん出世していく過
程は出来過ぎではないか、とちょっと疑問を持ち始めている。
ま、それは読者がハラハラしながらも安心して読むための作家のテクニックかもしれな
いのだが・・・
というわけで、私の散歩は中断して読書にはまっている始末である。