11/22のねこさん 文は田島薫
玄関のガラスの前
わが家の玄関のドアは全体が金網の入ったデコボコガラスで向こう側か
ら近づいたモノはだいたいの判読がつくんだけど、このごろは見るたん
びにニケが顔をつけて座っていて、なんの用かな、って開けてみると、
すぐに中へ入って来て、なにか探し物をしてる風。私が外にいても、当
人だけ出ないでうろうろしてるもんで、いつも、足なんかで外へ追っ払
われるのが、どうも不服そう。
外にいると、あのにぎやかなやつらがきて騒ぎ立てたり体引っ張ったり
されるもんでまいっちゃうんだよな、だからみんなどっかに逃げちゃっ
てるんだけど、ぼくはそ〜ゆ〜のはあんまし好きじゃないんだよね、逃
げるのはやなんだよね。だけど、この中に入っていたい気分なんだよね、
この中にはごはんもあるはずだし、おばさんたちもすぐそばにいるから
うるさいやつらがきても相手しないで済みそ〜だしね。逃げんじゃなく
て、ただ、ふつうにこの中で暮したいんだよね、ぼくは。