10/4のしゅちょう
            文は田島薫

(貧乏生活の作法、について)


わが国は過剰な労働時間を強いられるけど所得は安定した公務員や大企

業の正規雇用労働者と、過剰な労働時間でそこそこ安定した低所得でつ

つましく暮す中小企業労働者の他、コロナ禍などの影響をまともに受け

て、いつでも首を切られる最低賃金で働く非正規やパートタイマーなど

のアルバイトが増えつづけてるわけで、所得格差がどんどん広がるまま

で貧困層が増大してる国なのだ。

だいたい、倒れるぐらい忙しく働く労働者がいる一方、仕事を切られて、

どこかへ就職したくてもどこも採用してくれない状況の人々がいる労働

環境のバランスはハナから間違ってるわけで、ただでさえ、産業界など

の自動化が進み、必要労働時間はどんどん短くて済むようになってる状

況なんだから、みんなが短時間労働にして安定した給料で分け合うワー

クシェアリングが可能なはずなのに、労働意欲があってもどこにも働き

先がない、って状況は生産効率や利益優先する企業や公共団体を国が率

先して野放しにしてる、国の責任放棄のせいなのだ。

働き口は選ばなければ、交通誘導員やら清掃員やらなんでもあるだろう、

って言うものがいるけど、それだって定員は決ってて簡単にはいかない

場合があるのだ。現に以前仕事が減った仲間がちょっと単純作業のアル

バイトでもするか、って面接を受けてみたら、軽く断られた、って聞い

たことがある。多分、年令を問題にされたんだろう。

そういう状況がずっと続いたら、生活資金が底をつくことが多くの層に

ありうるわけで、その時は緊急事態なんだから公的資金援助を申請した

り、生活保護を受ける権利を行使していいんだし、もらえる人なら月に

数万円ほどの国民年金でなんとか生活する方法を探るのもいいだろう。

そんなこと言うと、非現実的だ、って思う人は多分経済的余裕があって

苦労したことがない人か、子どもや病人をかかえてパートをいくつもや

って働いて頑張ってる母子家庭の母親かもしれない。

私はなんとかそこそこ安定した貧乏生活できててとりあえず不安はない

んだけど、いつも頭に浮かぶのは紛争地から命からがら逃げて、その日

食べるものにも事欠く難民の人々のことや、わが国では、山奥の放棄農

地をただ同然で借りて自給自足でゼロ円で生活してる、って人のことや、

戦時中には日本中の大多数の国民が飢えていた、って話や、金持の私の

友人が、もし一文無しになって飢えそうになったら、レストランで食い

逃げするのがいい方法だ、って本気で話してたことだったり。


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